2012年7月19日木曜日

目立つ犬種(アリスの物語7)

アリスは、空風ボコとすぐに仲良しになりました。
犬同士、言葉ではなく心と体で会話しながら、はしゃぎあう姿からは、はじけそうな笑顔が見えるようでした。

それでも、アリスの体力は尽きることなく、ボコですら、もて余しぎみになった時、今度はポニーたちが遊び相手になってくれたのです。
ポニーと一緒に走るアリスは、なんだか馬のようにも見えました。

こうして、動物たちと一緒にいる時は、ただただ無邪気で明るいアリスだったのです。

そんなアリスを、最初、仲良しのボコの近くで、少しずつお客さまにも慣らしていこうと思った時期がありました。
すると人によって、アリスが鋭く対応を変えてしまうのです。

ある時は、とても人懐こく嬉しそうに…。
ある時は、怪訝そうに激しく威嚇して…。
またある時は、虐待でもされたかのように怯えることもあったのです。

本当は、そんなアリスの気持ちが落ち着いていくまで、ボコの側においてゆっくりと様子を見ていたかったのですが、接客業の難しいところが、そこにありました。

エオ仲間には、事情説明をして見守っていただくこともできたのですが、初めてエオの谷を訪れるお客さま、一度だけの来訪のお客さまに、詳しい説明をすることができず、幾度か悲しいトラブルになってしまいました。

「うわぁ〜(^o^)!ドーベルマンがいる〜」
と突然アリスに近寄ったお客さまに、間髪入れずに激しく吼え、
「セラピー施設になんでこんな犬を置いているんだ!」
「このドーベルマンが子どもに吼えて止まらない!」
などと激しく叱責を受けたこともあったのです。

やはり、ドーベルマンという犬種のせいで、必要以上に注目され、叱責を受けた気がします。

これでは、アリスがあまりに可哀想で(吼える以外では実際には害はなかったので)、少しお客さまから遠ざけることを選びました。
アリスには、ゆっくりゆっくり本当の意味で人を好きになってほしかったから…。

そして、仲良しの馬の側で暮らすことになったのでした(o^−^o)

0 件のコメント:

コメントを投稿