2012年7月14日土曜日

アリスという名のドーベルマン(アリスの物語2)

アリスの顔を初めて見たのは、4年前だったと思います。
携帯の写メで見たアリスは、大きいけれどあどけない瞳の綺麗な犬でした。

「いつか、シェパードが飼いたいって言ってたよね。ドーベルマンじゃダメかな…。」
受話器の向こうの声は、知り合いのドッグトレーナーさんでした。
そのトレーナーさんの愛犬シェパードとneotearは仲良しだったのです。

「いや〜、老後のパートナードッグにシェパードを考えていたくらいで、どちらにしてもすぐにという話ではなかったんですけど…。今うちには、3頭の犬がいますし…。」

「それが、預かっているドーベルマンの飼い主さんが里親を探していてね…。エオの谷のことを話してみたら、ぜひ話をしたいって言っていて。すごく大変そうなんだよ。」
なるほど…、訳あり犬なんだ…。

トレーナーさんからの電話だし、一応話だけは聞いてみようか…。

実はエオの谷を始めてから、いろんな動物の引き取り依頼の話が舞い込んできたりします。
う〜ん…普通、乗馬クラブにそんな相談は、頻繁にはこないよな…。

各方面の知り合いから、はたまた見ず知らずのお方まで、ウサギに始まり、ヤギに羊にポニー、もちろん犬猫、最大級は乳牛まで。

もちろん、とりあえずお断りします。
お断りして、そうですか、というお話しなら、べつにエオの谷でなくてもいいわけですし…。

お断りしても、話だけでも聞いてほしいという強い強い要望で、やっと話だけは聞くことにしています。

ご存じのようにエオの谷は、駆け込み寺でも、動物保護施設でもありません。
ただただ、ホースセラピー施設です。
それでも、相談がつきないのはなんでだろう…。

さて、アリスのことですが、ドーベルマンだというだけで、ご近所さん(特定の方ですが)から苦情の嵐、嫌がらせも始まり、アリスの命さえ危険な状態になってしまって、ドッグトレーナーさんのところに一時避難状態だということでした。

そんな状態で飼い続けるのは確かに大変なことだと思います。
ドーベルマンだったが故に、降りかかってきた災難でした。

その他のいろんな事情も聞いていくうちに、なんだかアリスの存在をふと身近に感じたのでした。
動物や人との縁は、不思議なもので、どうしてもそこに、理屈ではない何かがあるのです。

そして、縁がある相手は、どんなに遠くにいても遠回りしてもneotearのところにやってくるのです。

そんな訳で、同情でもなく共感でもなく、縁あってアリスはエオの谷にやってきました。
実際に800kmあまりの長旅をして。

2 件のコメント:

  1. お久しぶりです。

    ドーベルマンというだけで・・・
    動物も人間と同じ様に外見だけで判断されてしまう事もあるんですね(泣)

    災難を乗り越え・・・
    不思議なご縁でエオの谷の家族になったアリス。
    優しい家族と共に心穏やかに幸せな時間を過ごすことが出来たでしょうね♡

    きっと今も天国から厩舎が気になって見守ってくれているでしょね。

    ご冥福お祈り申し上げます。

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  2. くるみさんへ
    お久しぶりです。

    人には人それぞれの人生があり、犬には犬それぞれの犬生があるんです。
    ただ…犬の犬生は、人が左右してしまうといっても過言ではありません。

    アリスのお話、もう少し続けようと思います。

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